2009年04月29日

変な人 その一 『酔っ払い』

 さて、しょっぱなは、大阪の変な人の話だ。昔から酒を飲むとわけのわからんことを言う人がよくいてるが、わけのわからんことを言われても本当にわけのわからんとしか言いようがないことがある。

 僕がまだ高校生でウブ??な頃、大阪の国鉄(現在はJR)阪和線の我孫子町駅で電車を待っていた。その日は、ちょっとした用事があり電車に乗って出かけた帰りであった。

 なかなか来ない天王寺行きの各駅停車にイライラしながらベンチに座っていると、目の前に 「ヒッく!ヒッく!」 としゃっくりをしているチンピラ風のおっさんが通って行った。誰が見てもわかるぐらい明らかに酔っ払っていた。

 僕はあまり人とかかわるのが好きじゃないので普段はあまり人を見ないようにしている。もちろん、この時も目を合わさないようにしていた。

 しかし! 酔っ払いは僕の前を通り過ぎて行ったのにもかかわらず、こちらを振り向き僕の顔を見て満面の笑顔でベンチ目指して歩いて来た。そして、僕の隣に座り、僕の横顔をジーっと見ながら酒臭い声で 「兄ちゃん、男前やの!」 いきなりのわけのわからん一言で僕も思わず目を合わしてしまった。すると、酔っ払いは続けて 「よう見たら、兄ちゃん沖雅也に似てるやんけ!」 またまたわけのわからない言葉の連打を浴びせられた。
 
 僕はとりあえず褒め言葉だと受け取り 「ありがとうございます」 と言うと、酔っ払いはいきなり 「いい女やったぞ〜!さゆりは…」 全くわけがわからん。僕は心の中で 『誰やねんそれ!』 と突っ込んだが、声に出して言うこともできず、唖然としていた。

 すると、酔っ払いは 「さゆりはいい女やぞ、南の店にいてるんや! 兄ちゃんもよう知ってるやろ!」 わけがわからん。知ってるわけがない。

 僕が考えてることは唯一つだった。『早く電車が来ないかな… この酔っ払いから早く離れたい』 そう思いながら適当に相槌を打っていたらいきなり 「お前!なめとんのか!」 思わず 『ヤバイ!』 と思い、酔っ払いの顔を見ると、僕の顔をジ〜っと見つめて 「にいちゃん、怒りなや〜」 冗談じゃない、怒ってるのはあんたや! と思っていると、やっと電車が来てくれた。

 『助かった〜』 と心の中で思いながら、「それでは僕は天王寺まで行くので」 と言うと、酔っ払いは 「ほんなら気つけてな!さいなら!」 と言ったのでホっとして電車に乗り込んだ。

 すると、ドアが閉まる寸前に酔っ払いが滑り込むように電車の中に乗り込んで来た。そして一言! 「にいちゃん!奇遇やな!」 ぜんぜん奇遇じゃない!勘弁してくれよ!と思いながら、また酔っ払いの相手をすることになった。

 電車の中では完全に奇異な目で周りの乗客に見られている。当たり前だ。チンピラ風の酔っ払いと品のいい??高校生。まったくもってわけのわからん組み合わせである。しかも時刻はまだまだ夏の真昼間。

 ちょうど二人分の座席が空いていたので酔っ払いが 「にいちゃん!そこに座りいや!」 と言って二人で座ることに。すると、その座席から他の乗客が蜘蛛の子を散らすように離れていった。なんなんだ!この空気は!

 すると、酔っ払いは、また 「にいちゃん!男前やの!」 困ったものである。酔っ払いという生き物は同じことを言わなければ気がすまないらしい。その後は同じことの連呼。 「よう見たら、兄ちゃん沖雅也に似てるやんけ!」 

 ただ電車の中では一言違う言葉が増えていた。 「沖雅也は飛び降り自殺したけど、にいちゃんは死ねへんのか?」 アホなこと、なんで俺が死ななアカンねん!

 そんなわけのわからん会話が何回か続いているうちに電車は天王寺駅に到着。これでやっと酔っ払いから解放されると思い僕は改札に向かう。酔っ払いに 「それでは!これで!」 と僕が言うと、酔っ払いは最後に 「さゆりによろしくな!」   アーメン…


posted by かずえもん at 23:45| Comment(0) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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